100年後の映画館のために

映画館元副支配人による映画と映画館をめぐるインタビューの記録

2017-08

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映画は個人のものである(葉山陽一郎さん)

現在、シネマ・ジャック&ベティでは大島渚監督の映画人生を
描いた「THE OSHIMA GANG」が公開中です。この作品は大島作品
に関った映画人たち(大島ギャング)へのインタビューの実の
パートと、ドラマで再現された虚のパートが絡み合う不思議な
映画となっています。こういうのを「新感覚」とでもいうので
しょうか。

この映画の初日、舞台挨拶で来館した葉山陽一郎監督にお話を
伺いました。

独特な間のある方でしたが、文字にしてしまうとその間が伝わら
ず残念です。。。


-----------------------------------------------------------

第2回:葉山陽一郎さん
「THE OSHIMA GANG」監督)





★モデルアニメーターに憧れて
Q:まずは、映画に目覚めたきっかけを教えていただけますか?
葉山:もともと怪獣映画が好きで、中学三年のときにアメリカのモ
デルアニメーターのハリーハウゼンに憧れて、自分でも粘土で恐竜
を作って8mmでアニメーションを作ったりしてたんです。自分もモ
デルアニメータになりたくて、アメリカに渡って彼に弟子入りした
いと思っていました。ところがジョージ・ルーカスがコンピュータ
制御で動くモデルアニメーションを制作して、それがあまりにも完
璧だったので衝撃を受けました。モデルアニメーションは人間が手
で動かすことでそこに魂が宿るものだと考えていたんですが、もう
これからはコンピュータの時代になってしまうと思ったんです。
 その後、文化祭でスターウォーズのパロディみたいなSF映画を
作りました。ところが、カメラの絞りが閉じたままで何も写ってな
かった(笑)これは困ったということで、急遽「2001年宇宙の旅」の
モノリスが宇宙空間を彷徨うだけの映像を「ハイパースペース」と
いうタイトル付けて上映しました。これが意外と好評でした。それ
でこれからも映画を撮っていこうと思ったんです。

Q:その後、SF的な方向に進むことにしたんですか?
葉山:いえ、自分は文学青年だったので、これからは「人間の心」
を描くのが面白いのではないかと。それで16歳のときに「幻想」と
いう短編を撮りました。

Q:さっきお母様に聞いたら「幻想」にはお母様も出ているとか…
葉山:はい。しかもヌードで。強姦されて殺される役で出てもらい
ました。そんな役で出てくれる他のお母さんとかいませんし、身近
で済ませるしかないかなと。


★大島監督との出会い
Q:その「幻想」が運命の作品になったんですね。
葉山:はい。ぴあフィルムフェスティバルに入選して、そのときの
審査員の一人が大島渚監督でした。大島監督が僕の作品を力作だと
褒めてくれたのです。


hayama_02.jpg

Q:当時は大島監督の作品は観ていたんですか?
葉山:いえ。もちろん大島さんのことは知っていましたが、観てい
たのは「戦場のメリークリスマス」くらいでした。あとは怖い人と
いうイメージ。韓国の文化人との対談のときの「バカヤロー」発言
が国際問題になりそうになったとか。その後、自分も大島さんに映
画に出てもらおうと思って電話をかけたら「バカヤロー」と言われ
て、やっぱり怖い人だなと。

Q:今回の「THE OSHIMA GANG」の中にも出てくるエピソードですね。
葉山:「俺は映画の脚本を読むのに一年かけることもあるんだ!」
と言われました。そのとき日本監督協会の理事長かなんかやってい
たので、怒らせたらマズイということで手紙で謝罪しました。そう
したらすぐに返事がきて「ごめんなさい」と書かれていて、すごい
優しい感じの手紙でした。当時、クランクインの直前だったらしく、
怒られたのも当然でした。

Q:その手紙をもらって、大島監督は実は優しい人なんじゃないか
と思ったりしましたか?
葉山:いや、飴と鞭を使い分ける人なんだなと(笑)怒らせたらも
のすごく怖い。太刀打ちできない人だなと思っています。

Q:大島監督の作品のどんなところに影響を受けましたか?
葉山:いろいろ影響受けましたが、特にキャスティングが上手いな
と。「少年」という映画でまったくの素人を使っているんですが、
見事に演じています。「戦メリ」でもビートたけし、坂本龍一、デ
ヴィッド・ボウイという意外性のあるキャストで、すごく面白いと思
いました。

Q:ご自信の作品でもそういう試みはやっているんですか?
葉山:あえて素人を使うことはやっていますね。演技指導せずに、
カメラを回しちゃうみたいなことをよくやります。

★映画は個人のものである
Q:今回の作品のなかで、大島さんの言葉として語られる
「映画というものはあくまで個人のものである。会社という枠組み
ではなく「私」の作家の映画であるべきだ」という言葉が印象に残
りました。
葉山:ぼく自身、そういうやり方を実践してきました。今まで発注
受けて作ったことは無いんです。すべて自分で企画して、プロット
作って売り込んできました。今の監督はみんなフリーですから、自
分から売り込んでいかないと生活できないですからね。 
 大学卒業後、就職活動しないでフリーの制作進行で現場に入りま
した。鈴木清順監督が「映画はオリンピックだ」と言っていました。
これは4年に1回映画が撮れればいいという皮肉なんですが、これ
では生活できないので、まずは脚本家を目指しました。25歳のとき
に「世にも奇妙な物語」でデビューして、「ちびまる子ちゃんの」
の脚本とか「奇跡体験アンビリーバボー」の構成作家なんかもやっ
ていました。

Q:卒業後、すぐにフリーになって不安はありませんでしたか?
葉山:ありました。いまでも不安です(笑)でも、なんとか今は1
年に1本というペースで映画が作れています。もちろん1本だけで
はなく、複数の企画を同時並行で動かしていって、決まったものを
撮っていくというやり方です。普通は企画を制作会社に持っていっ
てそこからビデオメーカーに話がいくんですが、僕の場合はビデオ
メーカーの社長に直接売り込む、という逆の方法でやっています。
確実にDVDになりますし、予算も下りるんです。


★映画は映画館でかかるもの
Q:ここからは映画館の話になりますが、監督の中で劇場で公開す
るというのは常に考えていることですか?
葉山:もちろんです。映画は映画館でかけるものと思っていますか
ら。いまは携帯とかネットとかいろんなメディアで映像があります
が、それらは映画としては認めていません。映画館でかかるものが
映画なんだと思っています。

Q:それは、映画の力が最大限に引き出せる場所という点で映画館
の大きなスクリーンでなければダメということでしょうか?
葉山:そうですね。そういうことだと思います。

Q:最初に映画館で映画を観た記憶はなんでしょうか?
葉山:確かゴジラの「怪獣総進撃」だったと思います。小学校のと
きおばあちゃんに連れてってもらいました。

Q:最近は映画は映画館で観るものという意識が希薄になってきて
いると感じていますが、作り手側から見て映画館はどういう場所で
あって欲しいと思いますか?映画館との関わり方とか、何かご意見
とかあればお聞きしたいのですが…
葉山:映画は映画館でかかるものと思い続けていくしかないとしか
言えないかなあ。時代が変わっても映画館で映画を観たいという欲
求は変わらないでしょうし、作り手が映画館で映画を見せるという
ことを意識して作っていくことが大切なんじゃないでしょうか。

Q:ところで監督はアイドル方面の仕事もされてますね。これまで
作ってきたダークな映画とは違う一面ですね。
葉山:はい、社長と知り合いで、無理矢理、終身名誉監督にさせら
れています(笑)自分は多重人格的な側面があって、陰と陽というか、
まあ人も言うように変態というか、アイドル映画も作ってみたいん
です。「爆乳戦隊パイレンジャー」とかそういうのを観るのも大好
きなんです。とにかくジャンルにこだわらず何でもやってみたいん
です。企画もいっぱいあるんですが、バカバカしすぎてなかなか撮
らせてもらえませんが(笑)

★大島ギャングたちとの真剣勝負
Q:最後になりますが、今回の作品「THE OSHIMA GANG」について
少しお聞きします。大島作品に関った方々へのインタビューシーン
がありますが、あれだけ強烈な人たちを相手にどんな風に撮ってい
ったんですか?
葉山:これだけは聞いて欲しいということだけ決めておいて、主演
の片岡明日香さんにも質問を考えてもらって自由にやってもらいま
した。とにかく小山明子さんを怒らせてはいけないので、台本にも
気を遣いました。

hayama_01.jpg
「THE OHSHIMA GANG」初日舞台挨拶の様子。
左から尾関伸嗣さん、片岡明日香さん、葉山陽一郎さん。


Q:
作曲家の眞鍋理一郎さんへのインタビューシーンはかなり緊迫
感がありますね。
葉山:そうですね、真鍋さんも大島さんにあまりいい感情抱いてな
くて。尾関伸嗣君が機転の利いたいい質問をしてくれて、いい緊迫
感が出ました。あの瞬間は大島ギャングに勝ったと思いましたね。

Q:大島さんに反感を持っている人は結構多いんですか?
葉山:この作品を企画したとき、いろんなプロデューサーに止めた
ほうがいいといわれました。大島に関ると君まで敵を作るから、と。
そこまで問題児なのかと思いました。インタビューでも皆さん基本
的に反感を口にしていました。でも、大島さんの体調もあって、悪
口言ってもしょうがないという感じではありました。

Q:この作品は大島さんはご覧になったのでしょうか?
葉山:いえ、小山さんには見せましたが大島さんは体調の問題でそ
れは叶いませんでした。大島監督が元気でインタビューできたら普
通のドキュメンタリーになっていたと思います。それができないか
ら今回のようなドラマ的な部分を作ったのです。

Q:わかりました。監督、長い時間ありがとうございました。
葉山監督の作品「THE OSHIMA GANG」は3月26日までジャック&
ベティにて公開中です。同時に「大島渚特集」もやっています。
ぜひ劇場までお越しください。

2010年3月13日 シネマ・ジャック&ベティにて


<プロフィール>
葉山陽一郎
1965年生まれ。青春を過ごした土地、湘南をこよなく愛する、色白
の湘南ボーイ。マジメな顔でトボけた冗談を飛ばし、周囲を困惑さ
せるのが得意。日本大学芸術学部卒業後、ぴあフィルムフェスティ
ヴァル入選。テレビシリーズ「ちびまるこちゃん」「世にも奇妙な
物語」ほかの脚本やVシネの監督を経て、人体実験をテーマにした衝
撃作『サル』(2003)で劇場映画監督デビュー。05年に和田聡宏・
貫地谷しほり主演の『死霊波』、06年に椿隆之・阪田瑞穂主演の
『君はまだ、無名だった。』を監督。今夏『エンブリオ・毒と妊婦』
の公開を控えている。

★映画監督 葉山陽一郎の生活(ブログ)


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