100年後の映画館のために

映画館元副支配人による映画と映画館をめぐるインタビューの記録

2017-08

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映画は<体感>するもの(吉田浩太さん)

若年性脳梗塞という重病を乗り越えての吉田浩太監督の復活作
「ユリ子のアロマ」は、かつて剣道少年だった吉田監督ならではの
エロスとユーモラスが融合したエロモラス・ムービー。
エロと匂いと剣道に興味のある人は必見の作品です。
公開初日、舞台挨拶で来館した吉田監督にお話をお聞きしました。

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 第8回:吉田浩太さん(映画監督)

tirashiyurikono1.jpeg

『ユリ子のアロマ』
シネマ・ジャック&ベティで絶賛上映中!
<5/22(土)~6/4(金)> 19:45~21:05




★剣道からロマンポルノの世界へ
Q:監督にとって久々の作品となりますが、映画館で上映して反応
や感触はいかがでしょうか?
吉田浩太:劇場公開は初めてなんです。今回の作品は特に映画館で
かけて、お客さんに観てもらって初めて完成する作品だと思って作り
ましたので、映画館で上映することの意味をものすごく感じています。

Q:作り手にとって、映画館というのはやはり重要なものなのですか?
吉田:そうですね。やはり映画は映画館でかけてこそ、という思い
があります。普段はテレビドラマなどの仕事もしているんですが、
テレビドラマを作るのとは違って、映画館で観てもらって伝わるものは
何かということを常に考えて作っています。

Q:テレビと映画の文体の違いはなんでしょうか?
吉田:取り組み方は変わらないと思うんですが、う~ん…「気合い」
ですかね(笑) あとは映画のほうが表現の幅が広いというところ
でしょうか。
Q:表現の幅という点では、「ユリ子のアロマ」はテレビでは難しいでしょうね。
吉田:題材的に無理でしょうね。かかったら面白いですけどね(笑)
映画とテレビの違いという点では、やはり映画はお金を払って観る
ものということでしょうか。テレビはつければ流れてるわけで、自
分の意志とか集中力はないと思うんです。映画はお金を払って観て
もらうものであるということは作り手の意識として重要なことだと
思います。

Q:大変な病気をされて復帰したわけですが、リハビリ中も映画を
作りたいとずっと考えていたのですか?
吉田:そうですね、まだ映画館でかけたことがなかったので、次に
作ったら絶対に映画館でかけたいなと思って、その気持ちに支えら
れてきたように思います。


yuriko01.jpg
                     吉田浩太監督


Q:監督が映画に出会ったのはいつ頃でしょうか?
吉田:大学に入るまでほとんど映画は観てませんでした。ずっと剣
道しかやってなかったもので。大学に入って剣道も一区切りついて、
映画を観始めたんです。そのきっかけとなったのがロマンポルノで
した。ずっと剣道一色のマジメで保守的な世界で生きてきたので、
ロマンポルノアメリカン・ニューシネマにみられる自由さに「こん
なことやっちゃっていいんだ」と衝撃を受けたんです。自分ももっ
と自由にやっていいんだと思うようになりました。その後、サーク
ルに入り、専門学校にも通うようになって、映画を作るようになり
ました。

Q:マジメ人間だったのが、一気にロマンポルノですか。
吉田:中学くらいのときにちょっと道から外れたときもあったんで
すがまあ可愛いもので、基本的には剣道一直線の生活でした。いま
思い返すと相当不条理なんですが、試合で負けて、根性を叩きなお
すという名目で、雑巾の絞り汁を飲まされたり…でも、疑問
を感じながらも、禁欲的に練習に没頭していました。そんな生活だ
ったので、特に性に対してはエロ本程度の知識しかなくほとんど無
知な状態だったということもあって、ロマンポルノの描く世界がスッ
と入ってきたんだと思います。特に影響を受けたのは、神代辰巳
督の作品です。男女がずっとSEXし続けてるだけの生産性がまったく
ない世界なんだけど、そこに「人間そのもの」が描かれていると感じました。

★衝撃的な作品との出会いを
Q:監督とは同世代なんですが、監督が学生だった90年代の終わ
り頃と、今とでは映画を取り巻く環境がかなり変わってきています。
どんなに状況が変わっても、やはり映画は映画館で観るべきものだ
とお考えですか?
吉田:映画は鑑賞するものではなく、体感するものだと思うんです。
映画館という場所で、他の人と一緒に観るという「生」の体験が大
切なんだと思います。メディアが発達し、情報が溢れていけばいく
ほど、逆に映画館の本質が浮かびあがってくるのではないか、そう
なって欲しいなと期待しているんですが。

Q:
黄金町は特にそうなんですが、若いお客さんが本当に少ないん
です。今後、映画館に思い入れのある世代がどんどん減っていって
しまったとき、映画館や映画はどうなってしまうんでしょうか?
吉田:DVDで観ればいいという流れは確実にあるとは思います。
でも、1回でも映画館で衝撃的な体験をすれば、映画館に対する意
識も変わってくると思うんです。例えば、自分が高校時代とかに
『追悼のざわめき』とかを観たとしたら、決定的に何かが変わって
いたと思うんです。そういった出会いをすることが重要だと思います。

Q:そうですね、そういう出会いの場を劇場側が作っていかなけれ
ばいけないんだと思います。そういえば、先日来た方が女子高生が
2時間携帯の電源をOFFにすると、メールへのレスポンスが遅く
なり、それがきっかけで人間関係が壊れるらしいということを言っ
ていました。映画に関る人間は、この2時間と戦わなければいけな
いんだなと思いました。
吉田:最近ではTwitter試写会が話題になりましたよね。Twitterや
りながら映画に集中できないですよ。あれは論外です。でも、携帯
の電源切ったら生きていけないみたいな子たちが、衝撃的な映画と
出会ったときの変化は見てみたいですね。ぼくがロマンポルノに出
会ったときのように、こんな世界があったのか、自分の価値観がも
っと広がるんだということを教えてくれるのが映画なんだと思います。


Q:まずは映画館に行って衝撃を受けろ、ということですね。
吉田:でも、来てもらうためにはイケメンが出てるとか、そういう
ことになってくるわけですが(笑) 「ユリ子のアロマ」はマニアッ
クなテーマを扱っているので女子高生は観に来ないでしょうね。
若い人や自分と同年代に来てもらいたいと思っていますけれど。
Q:なんといっても、「エロモラスムービー」(エロ+ユーモラス)
ですからね。その点、黄金町は町全体からエロいアロマが出てます
から相性はいいと思います(笑)

Q:100年後の映画と映画館を取り巻く状況ははどうなっている
でしょうか?
吉田:希望を込めてなんですが、これからもっと情報化が進んで、
ますます生のコミュニケーションが希薄になっていくと思いますが、
そうなると逆に、人と人との触れ合いやリアルな場での生身の体験
はますます重要になっていくと思っています。Twitterの流行をみて
もわかるように、時代が変わっても人はたえず人とのつながりを求
めています。映画館は、映画を媒介にして人と人が繋がれる場所で
あり、リアルなコミュニケーションが得られる場所のひとつとして、
これからも必要ですし、残っていって欲しいと思っています。

Q:こんな時代だからこそスクリーンで観たい映画を挙げていただ
けますか?
吉田:そうですねー、よく特集されてはいますが、やっぱり
ロマンポルノ、ですかね…。中でも神代監督の『濡れた欲情・特出し21人』
なんかは意外と観る機会が少ないですし。あとは、スコセッシ
『ミーン・ストリート』『明日に処刑を…』なんかもいいですね。

Q:今日はありがとうございました。

2010年5月22日(土) ジャック&ベティ応接室にて




<プロフィール>
吉田浩太 Kota Yoshida
1978年8月28日、東京都出身。早稲田大学中退。ENBUゼミナールに入学(篠原哲雄、豊島圭介に学ぶ)。同年自主で短編「落花生」を初監督。 ENBU卒業後、フリーの助監督を経て、04年映像製作会社シャイカーに入社。清水崇監督「怪奇大家族」メイキングの編集、豊島圭介監督「シベリア」の脚本、DVDオリジナル「心霊写真ー呪縛(→影)ー」監督などの傍ら、自身の作品を作り続ける。中編初監督作品「お姉ちゃん、弟といく」で国内外から注目を集めるも、08年1月劇場公開デビュー作品準備中に、若年性脳梗塞を発症。手術・治療のため、休養生活に入る。手術が成功した後、リハビリに専念。NHK「天才テレビくん」内ミニドラマの脚本、監督などをコンスタントに手がけつつ、10年1月、復帰作となる長編映画「ユリ子のアロマ」を完成。


『ユリ子のアロマ』公式サイト

吉田浩太のブログ

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テーマ:インタビュー - ジャンル:映画

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