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100年後の映画館のために

映画館元副支配人による映画と映画館をめぐるインタビューの記録

2010-09

暗闇のマジックは不滅です(山崎裕さん、渡辺真起子さん)

「トルソ」=首・四肢のない、胴体だけの彫像のこと。
ドキュメンタリーカメラマンの第一人者であり、是枝裕和監督作品などでも知られる
山崎裕さんが満を持して初監督した作品は、映画を知り尽くしたベテランならではの
深みのある演出と実力派俳優の演技が光る逸品。
ジャック&ベティでの公開初日に来館した、山崎監督と主演の渡辺真起子さんに
お話を聞きました。


第16回: 山崎裕さん(『トルソ』監督)、渡辺真起子さん(女優)

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『トルソ』
全国ミニシアターで公開中!
上映情報は公式サイトへ


★スクリーンの現実をどこまで信じられるか
Q: 今回「トルソ」を撮った経緯をお聞かせください。

山崎:70年代にドキュメンタリーのカメラマンとしてよく海外に行っていまし
た。ちょうどヨーロッパがフリーセックスやウーマンリブ、ポルノ解禁に沸い
ていて、すごく開放的な空気がありました。そんなときに街のポルノショップ
でたまたま男性の「トルソ」が棚の上にドンと置かれているのを見て衝撃を受
けたんです。そのときの体験を元に、女性の立場からみたセックスとか、男性
目線ではない女性の性意識みたいなものを、トルソを媒介にして描きたいと思
っていました。70年代と現代とでは男女関係も女性の意識も変わってきていま
すが、アングルを変えてみるとまた違ったストーリーが生まれるのではないか
と考えてプロットを書き始めたんです。

Q:山崎さんというとやはり是枝作品の数々の名作を作り出してきた名カメラ
マンというイメージですが、今回監督をされたのはどうしてですか? 監督を
やってみてカメラマンとはどう違いましたか?

山崎:内容的に僕の個人的なファンタジーなので、他人がやるより自分で監督
やったほうがいいのではないだろうかと思いました。元々、ドキュメンタリー
で演出もやっていたので、今回も監督をしたというよりカメラマンとして演出
も兼任したという意識でやりました。自分のカメラを直接的に自分の表現の道
具にしてみたという感覚でした。

Q:渡辺さんは脚本を読んでどう思われましたか?

渡辺:先に話は聞いていて、それから脚本を読ませて頂いて、山崎さんが見た
い世界があるということがよくわかりました。これまでも何度か一緒に仕事を
していたので、入りづらさは特にありませんでした。

Q:登場人物はそれぞれいろんな背景を抱えた存在ですが、細かい部分は描か
れていません。

山崎:人間は一面的ということはあり得なくて多面的な存在です。人の感情の
奥底や過去は氷山の下の部分のように見えませんが、それを説明する芝居では
なく、その場その場でどんな感情で妹と向き合うか、この部屋でどう生きるか
ということを積み重ねていくことで、その背景にあるものを感じさせる演出を
したいと考えていました。

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テーマ:インタビュー - ジャンル:映画

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