100年後の映画館のために

映画館元副支配人による映画と映画館をめぐるインタビューの記録

2010-06

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映画は人生の応援歌(原一男さん)

記念すべき10回目にお届けするのは、「極私的エロス・恋歌1974」、
「ゆきゆきて、神軍」、「全身小説家」など、ドキュメンタリー映画史に残る
数々の傑作を作ってきた原一男監督です。
5月にジャック&ベティで行われた原監督全作品上映で来館された際にお話を
伺いました。
常に体を張って映画を作ってきた監督だからこそ言える、若い作り手たちへの
厳さと愛情あふれる言葉をお聞きすることができました。

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第10回:原一男さん(映画監督)

★昭和と平成の狭間で
Q:これまで監督は数々の話題作・問題作を作り影響を与えてきました。なぜこれ
ほどまでに社会に衝撃を与える力のある作品を作り続けられたのでしょうか。
原:僕らの世代は70年代の全共闘運動に大きな影響を受けていて、根っこの部分
に常に自由に向かって作品を作ろうという意思があります。現実を自由じゃなくさ
せているものの正体をひとつひとつ明きらかにして、それをスローガンを声高に言
うのではなく、その不自由さと戦っている人と出会って、そういう人と向き合い、
双方の力で格闘しながら映画を作っていくというスタイルで僕らは作ってきました。
でも、昭和が終って、時代が変わり、問題意識も変わりました。人間という生き物
は基本的に自分を虐げるものに対して戦っていこうとする指向性を持っていますが、
現代はその虐げている相手、巨大な何かが見えない時代です。これまでは、ある問
題があって、それに対する考え方があり、主人公がその問題に体を張って立ち向か
っていくというストーリーで作品が作れたのですが、いまは抵抗する相手が見えに
くくなっていて、しかも戦うという意識そのものが弱くなっている気がします。
いまの若い人の作品を観ていても、自分自身がまず満たされてなくて、自信が持て
なくて、そんな自分を誰かに救って欲しいという気持ちで作られているものが多く
見受けられます。そうした映画には、観た人がそこからエネルギーがもらえたり、
励まされたりするような力がありません。僕たちは人生の応援歌のつもりで映画を
作ってきましたから、そこが70年代と現在との大きな違いだと感じています。

Q:時代とともに作品のつくり方は変わってきましたか?
原:『全身小説家』まではいま言ったような方法と問題意識で作ってきましたが、
こういう作り方はもうできないんじゃないかと思っています。「ゆきゆきて、神軍」
が完成したのは昭和天皇が亡くなる2年前で、昭和天皇が亡くなってからは昭和
が持っていた戦後のエネルギーが急速に萎んでいきました。奥崎さんや井上さんの
ような破天荒な人はもう存在しないですし、たとえいたとしてもああいう生き方は
時代から浮いてしまい単なるおかしな人になってしまいます。ドキュメンタリーは
時代の影響を敏感に受けますから、もう今までのやり方は難しいと思い、違う作り
方を模索しているんですが、まだ「これだ!」という方法が見つかったという気が
していません。


harakazuo.jpg
シネマ・ジャック&ベティでの舞台挨拶の様子。

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テーマ:インタビュー - ジャンル:映画

もっと喧嘩しろ!(大宮浩一さん)

ドキュメンタリー映画『ただいま それぞれの居場所』
今、静かな話題をよんでいます。

本作品には、画一的な介護サービスの在り方にジレンマを感じ、
自ら理想とする介護を実現させようと施設・事業所を
立ち上げた若い人たちの奮闘ぶりと、誰もが他人事ではいられない
介護の「今」が描かれています。

ジャック&ベティでの公開初日に来館した監督の大宮浩一さんに、
この作品のことではなく(劇場で実際にご覧ください!)、
映画や映画館についてあれこれ伺いました。

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第9回:大宮浩一さん(映画監督・プロデューサー)

tirashitadaimaa.jpeg
『ただいま それぞれの居場所』
シネマ・ジャック&ベティにて絶賛上映中!
<6/12(土)~6/18(金)> 10:45~12:30
<6/19(土)~6/25(金)> 12:10~13:50



★映画の可能性に魅せられて
Q:映画の仕事に進んだきっかけを教えてください。
大宮:大学で映像学科に入りました。そういう学部を選んだという
ことは高校のときから映画をやろうと決めていたんだと思います。
でも大学にはほとんど行ってなくて、いちおう2年間籍はありまし
たが、実質除籍でした。「あなたの退学届けは受理しました」って
言われて、俺書いてないしって感じで(笑) 俺がいなければ日本
映画は遅れるのになと思いながらも、誰にも引き止められなかった
ので田舎に帰って税理士の勉強を始めました。そのときに原一男さん
が映画を撮るという話があったので、ギャラは出ないという条件だった
んですが、そんなわけ無いだろうと思って一年間限定で参加しました。
でも、本当にギャラが出なかった(笑) 
で、まあ撮影は1年ちょっとで終ったんですが、おかげで借金もできたので、
映画の借金は映画で返そうと思って、税理士は断念してこの世界に入り
ました。それでテレビの仕事など、映像の現場でお金を稼ぐための
仕事を始めました。当時は、そういう仕事を「まちば」とか言ってましたが、
今はもう言わないですかね。

Q:「街場」ですか? 初めて聞きました。ところで、子供の頃から
映画をよく観てて映画を作りたいと思ったのですか?
大宮:映画ではなく、政治のプロパガンダの一つの手段としての映像
に興味を持ちました。早稲田の探検部に入って、ゆくゆくは
「すばらしい世界旅行」みたいなものを撮りたいというような思いは
ありましたが、大人数でクレーン使ってという劇映画にはまったく興味
がありませんでした。山田洋次の家にはプールがあるらしいぜ、嫌な奴だな、
とか言っている嫌な青年でした。

Q:たいてい、監督くらいの年代の方ですと、お父さんに映画館に
連れていってもらって映画の魅力に目覚めた、というような原体験が
あることが多いんですが、そういうことはありませんでしたか?
大宮:まったくありませんでした。きっかけは政治に対する関心で
す。僕が大学入った年に成田空港が開港したんですが、一年間大学
にいかずほとんど三里塚に行っていました。小川紳介さんとか
土本典昭さんの活動を知って、映画という手段で社会の悪を糾すという
方法もあるということに興味を持ちました。活動に参加している自分たち
自身を撮って、それを世に伝えるということが新鮮だったんです。

tadaima01.jpg
上映初日舞台挨拶する大宮監督


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テーマ:インタビュー - ジャンル:映画

映画は<体感>するもの(吉田浩太さん)

若年性脳梗塞という重病を乗り越えての吉田浩太監督の復活作
「ユリ子のアロマ」は、かつて剣道少年だった吉田監督ならではの
エロスとユーモラスが融合したエロモラス・ムービー。
エロと匂いと剣道に興味のある人は必見の作品です。
公開初日、舞台挨拶で来館した吉田監督にお話をお聞きしました。

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 第8回:吉田浩太さん(映画監督)

tirashiyurikono1.jpeg

『ユリ子のアロマ』
シネマ・ジャック&ベティで絶賛上映中!
<5/22(土)~6/4(金)> 19:45~21:05




★剣道からロマンポルノの世界へ
Q:監督にとって久々の作品となりますが、映画館で上映して反応
や感触はいかがでしょうか?
吉田浩太:劇場公開は初めてなんです。今回の作品は特に映画館で
かけて、お客さんに観てもらって初めて完成する作品だと思って作り
ましたので、映画館で上映することの意味をものすごく感じています。

Q:作り手にとって、映画館というのはやはり重要なものなのですか?
吉田:そうですね。やはり映画は映画館でかけてこそ、という思い
があります。普段はテレビドラマなどの仕事もしているんですが、
テレビドラマを作るのとは違って、映画館で観てもらって伝わるものは
何かということを常に考えて作っています。

Q:テレビと映画の文体の違いはなんでしょうか?
吉田:取り組み方は変わらないと思うんですが、う~ん…「気合い」
ですかね(笑) あとは映画のほうが表現の幅が広いというところ
でしょうか。
Q:表現の幅という点では、「ユリ子のアロマ」はテレビでは難しいでしょうね。
吉田:題材的に無理でしょうね。かかったら面白いですけどね(笑)
映画とテレビの違いという点では、やはり映画はお金を払って観る
ものということでしょうか。テレビはつければ流れてるわけで、自
分の意志とか集中力はないと思うんです。映画はお金を払って観て
もらうものであるということは作り手の意識として重要なことだと
思います。

Q:大変な病気をされて復帰したわけですが、リハビリ中も映画を
作りたいとずっと考えていたのですか?
吉田:そうですね、まだ映画館でかけたことがなかったので、次に
作ったら絶対に映画館でかけたいなと思って、その気持ちに支えら
れてきたように思います。


yuriko01.jpg
                     吉田浩太監督


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