100年後の映画館のために

映画館元副支配人による映画と映画館をめぐるインタビューの記録

2010-03

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いつでも「いきあたりバッチリ」(吉岡逸夫さん)

ドキュメンタリー映画作家の吉岡逸夫さんは、本業は新聞記者。
記者として数々の戦場を取材するとともに、その傍らで本を書き、
映画も撮ってしまうという、常にメディアを横断し続ける表現者です。

「最小限のエネルギーで最大効果を得る」という独自の方法で、
低予算ながら鋭い視点と批評精神あふれる作品を作り続けている
大変ユニークな方です。

今回、私が副支配人時代からお世話になっている先輩から、
吉岡さんを紹介していただくことになり、インタビューしてきました。
どんなことを考えて作っているのか聞いてみました。

----------------------------------------

第1回:吉岡逸夫さん
(新聞記者/ドキュメンタリー映画監督)

★写真の挫折から映画へ
Q:吉岡さんは、本業は新聞記者で、映画も作ってらっしゃいます
が、そもそも映画を作ろうと思ったきっかけを教えていただけます
か?
吉岡:映画との付き合いは実はけっこう古くて、ジャーナリストよ
りずっと前なんだよね。20代の頃、写真をやろうと思って専門学校
に入ったんだけど、ほとんどの生徒は写真屋の息子だったり、カメ
ラ小僧だったり、すでに知識があるわけ。授業もある程度知識があ
るという前提で進むもんだから、まったく知識がない自分はついて
いくのもやっとで本当に辛い思いをした。

Q:最初は写真だったんですね。それで、写真は諦めて映画へ進ん
だんですか?
吉岡:さすがに映画撮ってる奴はいなかったから、スタートは一緒
だし大丈夫だろうと。写真と違って大勢でわいわい言いながら作業
するのも楽しかったしね。それでグループで何を撮るかアイデア出
し合うことになって、自分の脚本が採用されて主演もすることにな
った。

Q:いきなり脚本・主演。すごいですね。どんな作品だったんですか?
吉岡:たしか田舎から出てきたばかりの青年が、銀座で恥をかくと
いうストーリーで、池に落ちたり、店の人に追いかけられたり…
この田舎者はもちろん当時の自分自身。あの頃はコンプレックスの
塊で、そういう自分を表現したかったんだろうね。

Q:当時、映画はよく観ていましたか?
吉岡:友人に映画狂いがいて、そいつに連れられてよく観に行った
なあ。当時特に好きだったのはダスティン・ホフマンの「真夜中の
カーボーイ」。あとは「戦艦ポチョムキン」とか過去の名作を観たの
もこの時期。映画っていうのは本当に凄いものだと思ったね。


itsuo_yoshioka.jpg
撮影:坂本慎平

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はじめに

私は昨年末まで、横浜の映画館シネマ・ジャック&ベティ
という映画館で副支配人をやっていました。
現在は、元副支配人としてフリーで活動しております。

映画館で働いていたとき、こんな疑問が頭に浮かびました。

「映画館(※)ははたして、100年後も存在しているだろうか?」

この疑問の大本には、集客が伸びず、
厳しい経営状況が続き、ほとんどスタッフの熱意だけで
支えられているという映画館の辛い現状があります
(もちろん個々の館で状況は異なりますが)

一方、映画はどんどん作られています。
(上映する作品には困らない。けれど映画館は儲からない)

いまはカメラとパソコンさえあれば誰でも作れますから、
新しい作り手はどんどん生まれています。
人間に表現したいという欲求がある限り、
映画というメディアは無くならないでしょう。

けれど映画を上映するという目的だけのためなら、
たいていの人にとっては、映画館は世の中に無くても
それほど困らないんじゃないか?
困るのは、「映画は映画館で観なきゃダメ」という
コアな映画ファンと
映画館で上映することを特別だと思っている
映画監督だけではないか?

どうも、映画を作る側と映画館側の間には、
深い溝があるような気がしてなりません。

私は映画館で働くうちに、いつしかこんな風に
映画に関するあらゆることに懐疑的な人間になってしまいました。

では、映画を作る側はいったいどんなことを考えて
作品を作り、映画館についてはどんなことを考えて
いるんだろう。
そのことを映画人たちに聞いてみたら、
映画と映画館について、
100年先まで見通すことができるようなヒントが
見えてくるかもしれない。

そんな個人的な思いから、このブログを立ち上げました。

もちろん、そんな意図は無視して、
映画人たちのインタビューを楽しんでいただければ
まったく問題ありません。

インタビューする相手は主に、ジャック&ベティに
舞台挨拶で来た監督さんたちが中心になりますが、
私がいろいろなところで出会った方々も
含まれることになると思います。

それではどうぞよろしくお願いします。


※この場合の映画館とはいわゆる「ミニシアター」と呼ばれる
映画館のことを指します。シネコンは含んでいません。


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