100年後の映画館のために

映画館元副支配人による映画と映画館をめぐるインタビューの記録

2010-03

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面白くなければ客は来ない(山谷哲夫さん)

今回ご登場いただくのは、映画監督でノンフィクション作家でもあ
る山谷哲夫さん。日本映画学校で長年先生もやられていた、ドキュ
メンタリー界の重鎮でもあります。

ぼくにとっては、山谷さんといえばなんといっても「じゃぱゆきさん」。
海外からの出稼ぎ外国人女性たちの人身売買の実態をルポした
ノンフィクションの傑作です。

お客さんとは何か、お客さんが求める「面白いもの」とはどのよう
なものなのか、ベストセラーを生み出し、映画界に長く関られてき
た山谷さんならではのお話を聞くことができました。


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第3回:山谷哲夫さん
(ドキュメンタリー映画監督、ノンフィクション作家)


★映画館に育てられた
Q:山谷さんと映画との出会いを教えてください。
山谷:母がずっと映画館のモギリやっててね。富山の「高岡劇場」
っていう小屋。その頃は映画全盛だったから儲かっていて、モギリ
とはいえ社員だった。父はぼくが物心ついたときにはもういなくて、
母の話では、父は元台湾総督府の警察官で、戦後、復員して失意の
中で死んだらしい。だから母が一人で、映画館で働いて、ぼくを育
ててくれた。80年代に「E.T」がヒットしてたのが、最後の記憶かな。

Q:映画館で育ったようなものなんですね。では、初めて映画作り
に関ったのはいつですか?
山谷:大学2年のとき、アルバイトで今村昌平の「神々の深き欲望」
に参加した。なんでもやる雑用係だったね。すごい現場だった。で
も大勢で作る映画は自分に向いてないと思って、ドキュメンタリー
をやることにした。

Q:ご自信の作品で、どの作品が一番思い入れがありますか?
山谷:4本目に作った「沖縄のハルモニ―証言・従軍慰安婦」('79)。
これが一番当った。あの頃はフィルムの一コマに自分の将来がある
と思って撮っていた。ハングリーだったね。あれを超える映画は作
れないと思う。

Q:テーマが「従軍慰安婦」というのも刺激的です。この作品はど
うしてヒットしたんでしょうか?
山谷:元慰安婦の前で、自分が美空ひばりの歌を歌うシーンがある。
「りんご~の~」って。歌詞も間違ってるし、すごい音痴。恥ずか
しいのでそのシーンをカットしようとしたら、編集者がこれは面白
いから入れたほうがいいと言うので残した。客はそのシーンで笑っ
ていた。自分を全部さらけ出してアホになったからよかったんだと
思う。アホにならないと客は喜んでくれない。

yamatani.jpg
撮影:坂本慎平

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映画は個人のものである(葉山陽一郎さん)

現在、シネマ・ジャック&ベティでは大島渚監督の映画人生を
描いた「THE OSHIMA GANG」が公開中です。この作品は大島作品
に関った映画人たち(大島ギャング)へのインタビューの実の
パートと、ドラマで再現された虚のパートが絡み合う不思議な
映画となっています。こういうのを「新感覚」とでもいうので
しょうか。

この映画の初日、舞台挨拶で来館した葉山陽一郎監督にお話を
伺いました。

独特な間のある方でしたが、文字にしてしまうとその間が伝わら
ず残念です。。。


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第2回:葉山陽一郎さん
「THE OSHIMA GANG」監督)





★モデルアニメーターに憧れて
Q:まずは、映画に目覚めたきっかけを教えていただけますか?
葉山:もともと怪獣映画が好きで、中学三年のときにアメリカのモ
デルアニメーターのハリーハウゼンに憧れて、自分でも粘土で恐竜
を作って8mmでアニメーションを作ったりしてたんです。自分もモ
デルアニメータになりたくて、アメリカに渡って彼に弟子入りした
いと思っていました。ところがジョージ・ルーカスがコンピュータ
制御で動くモデルアニメーションを制作して、それがあまりにも完
璧だったので衝撃を受けました。モデルアニメーションは人間が手
で動かすことでそこに魂が宿るものだと考えていたんですが、もう
これからはコンピュータの時代になってしまうと思ったんです。
 その後、文化祭でスターウォーズのパロディみたいなSF映画を
作りました。ところが、カメラの絞りが閉じたままで何も写ってな
かった(笑)これは困ったということで、急遽「2001年宇宙の旅」の
モノリスが宇宙空間を彷徨うだけの映像を「ハイパースペース」と
いうタイトル付けて上映しました。これが意外と好評でした。それ
でこれからも映画を撮っていこうと思ったんです。

Q:その後、SF的な方向に進むことにしたんですか?
葉山:いえ、自分は文学青年だったので、これからは「人間の心」
を描くのが面白いのではないかと。それで16歳のときに「幻想」と
いう短編を撮りました。

Q:さっきお母様に聞いたら「幻想」にはお母様も出ているとか…
葉山:はい。しかもヌードで。強姦されて殺される役で出てもらい
ました。そんな役で出てくれる他のお母さんとかいませんし、身近
で済ませるしかないかなと。


★大島監督との出会い
Q:その「幻想」が運命の作品になったんですね。
葉山:はい。ぴあフィルムフェスティバルに入選して、そのときの
審査員の一人が大島渚監督でした。大島監督が僕の作品を力作だと
褒めてくれたのです。


hayama_02.jpg

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テーマ:インタビュー - ジャンル:映画

いつでも「いきあたりバッチリ」(吉岡逸夫さん)

ドキュメンタリー映画作家の吉岡逸夫さんは、本業は新聞記者。
記者として数々の戦場を取材するとともに、その傍らで本を書き、
映画も撮ってしまうという、常にメディアを横断し続ける表現者です。

「最小限のエネルギーで最大効果を得る」という独自の方法で、
低予算ながら鋭い視点と批評精神あふれる作品を作り続けている
大変ユニークな方です。

今回、私が副支配人時代からお世話になっている先輩から、
吉岡さんを紹介していただくことになり、インタビューしてきました。
どんなことを考えて作っているのか聞いてみました。

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第1回:吉岡逸夫さん
(新聞記者/ドキュメンタリー映画監督)

★写真の挫折から映画へ
Q:吉岡さんは、本業は新聞記者で、映画も作ってらっしゃいます
が、そもそも映画を作ろうと思ったきっかけを教えていただけます
か?
吉岡:映画との付き合いは実はけっこう古くて、ジャーナリストよ
りずっと前なんだよね。20代の頃、写真をやろうと思って専門学校
に入ったんだけど、ほとんどの生徒は写真屋の息子だったり、カメ
ラ小僧だったり、すでに知識があるわけ。授業もある程度知識があ
るという前提で進むもんだから、まったく知識がない自分はついて
いくのもやっとで本当に辛い思いをした。

Q:最初は写真だったんですね。それで、写真は諦めて映画へ進ん
だんですか?
吉岡:さすがに映画撮ってる奴はいなかったから、スタートは一緒
だし大丈夫だろうと。写真と違って大勢でわいわい言いながら作業
するのも楽しかったしね。それでグループで何を撮るかアイデア出
し合うことになって、自分の脚本が採用されて主演もすることにな
った。

Q:いきなり脚本・主演。すごいですね。どんな作品だったんですか?
吉岡:たしか田舎から出てきたばかりの青年が、銀座で恥をかくと
いうストーリーで、池に落ちたり、店の人に追いかけられたり…
この田舎者はもちろん当時の自分自身。あの頃はコンプレックスの
塊で、そういう自分を表現したかったんだろうね。

Q:当時、映画はよく観ていましたか?
吉岡:友人に映画狂いがいて、そいつに連れられてよく観に行った
なあ。当時特に好きだったのはダスティン・ホフマンの「真夜中の
カーボーイ」。あとは「戦艦ポチョムキン」とか過去の名作を観たの
もこの時期。映画っていうのは本当に凄いものだと思ったね。


itsuo_yoshioka.jpg
撮影:坂本慎平

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はじめに

私は昨年末まで、横浜の映画館シネマ・ジャック&ベティ
という映画館で副支配人をやっていました。
現在は、元副支配人としてフリーで活動しております。

映画館で働いていたとき、こんな疑問が頭に浮かびました。

「映画館(※)ははたして、100年後も存在しているだろうか?」

この疑問の大本には、集客が伸びず、
厳しい経営状況が続き、ほとんどスタッフの熱意だけで
支えられているという映画館の辛い現状があります
(もちろん個々の館で状況は異なりますが)

一方、映画はどんどん作られています。
(上映する作品には困らない。けれど映画館は儲からない)

いまはカメラとパソコンさえあれば誰でも作れますから、
新しい作り手はどんどん生まれています。
人間に表現したいという欲求がある限り、
映画というメディアは無くならないでしょう。

けれど映画を上映するという目的だけのためなら、
たいていの人にとっては、映画館は世の中に無くても
それほど困らないんじゃないか?
困るのは、「映画は映画館で観なきゃダメ」という
コアな映画ファンと
映画館で上映することを特別だと思っている
映画監督だけではないか?

どうも、映画を作る側と映画館側の間には、
深い溝があるような気がしてなりません。

私は映画館で働くうちに、いつしかこんな風に
映画に関するあらゆることに懐疑的な人間になってしまいました。

では、映画を作る側はいったいどんなことを考えて
作品を作り、映画館についてはどんなことを考えて
いるんだろう。
そのことを映画人たちに聞いてみたら、
映画と映画館について、
100年先まで見通すことができるようなヒントが
見えてくるかもしれない。

そんな個人的な思いから、このブログを立ち上げました。

もちろん、そんな意図は無視して、
映画人たちのインタビューを楽しんでいただければ
まったく問題ありません。

インタビューする相手は主に、ジャック&ベティに
舞台挨拶で来た監督さんたちが中心になりますが、
私がいろいろなところで出会った方々も
含まれることになると思います。

それではどうぞよろしくお願いします。


※この場合の映画館とはいわゆる「ミニシアター」と呼ばれる
映画館のことを指します。シネコンは含んでいません。


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リオ@元副支配人

Author:リオ@元副支配人
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