100年後の映画館のために

映画館元副支配人による映画と映画館をめぐるインタビューの記録

2017-08

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<精神のたたずまい>を取り戻すために(岩名雅記さん)

引き続き『夏の家族』監督の岩名雅記さんインタビューをお届けします。
上映は11月12日(金)までです。お見逃し無く!


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第19回: 岩名雅記さん(『夏の家族』監督、舞踏家) 後編

natunokazoku05.jpg
<上映情報>
『夏の家族 A Summer Family』(2010年/日本/78分/モノクロスタンダード)
渋谷UPLINK Xにて絶賛上映中!
・10/30(土)~11/12(金) 15:00
※10/30(土)~11/5(金)は、1階UPLINK FACTORYにて連日13:15から上映あり
詳しくはコチラへ


★エロチックでない性描写
Q:先ほど「死」についてお話いただきましたが、「生」の部分についてはどのように
お考えでしょうか? 

岩名:その質問への答えになるかわかりませんが、動物の死骸や、紫陽花の花を4カット、
これは季節ごとに朽ちていく様子を撮っています。また、台風で折れた木や、枯れた
樹木を燃やすシーンなど、生命の変転を描くということで「生と死」を描いたつもりです。

Q:今回の作品でもっとも物議を醸す部分は、過激とも言える性描写だと思います。
「え、そこまでやっちゃうの?」と正直驚きました。前作では性描写に関して周囲の
過剰な反応がありましたが、その反応を受けてあえてもっと過激に描かなければいけ
ないという気持ちがあったのでしょうか?

岩名:それはまったくありません。普通、エロチックな映画というのはしばしばストー
リーの展開のための道具として性描写を挿入します。前作での性描写はややそういう面
がありましたが、今回の場合は、先ほども申し上げたように「全ての生命というものは
等価である」ということと「人間の身体の部分部分もまた等価である」というメッセー
ジがあります。社会的な視点から見ると公衆の面前で性行為を見せるのはアブノーマル
ということになるけれど、「ヒト」の視点から見れば性行為もヒトの営みの一部であり、
生殖器も身体の一部であるということを描きたかったのです。僕の中では、食事を作っ
ていた主婦が次の瞬間にセックスしても何もおかしくありません。そういうことを描い
てみたかったんです。実際に映画を観た人からは、エロチックでない、即物的で何の色気
もない、という意見が多くありました。

Q:監督の意図としてはエロチックな面も出したかったのでしょうか?

岩名:そういう意図はまったくありませんでした。コップも植物もセックスも、すべて
のカット(画)を同列で撮っていったんです。先日、トークショーのあとビデオ作家の
人と話した時、彼もこの映画は全然エロチックじゃないと言っていました。その理由は
何かと聞いてみたところ、<視線>の問題ではないかと言うんです。性行為をエロチッ
クなものとしてみせる(男性眼線の)カメラの動き、女性の表情、美しさなど、そうい
うものに欠けているということなんでしょうね。でも、それは僕が意図したことなので、
失敗とは思っていません。

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テーマ:インタビュー - ジャンル:映画

映画と舞踏の中の<死>を見つめて(岩名雅記さん)

今回は2回に分けて、岩名雅記さんのインタビューをお届けします。
岩名さんは、現在、渋谷アップリンクで公開されている劇映画『夏の家族』の監督。
本業は、フランスを舞台に国際的に活躍している舞踏家でもあります。
4年前公開された監督デビュー作『朱霊たち』を観て、普通の映画とは一味違った
感覚を味わって以来、僕の中で気になる存在であり続けてきました。
そんな岩名監督が新作を引っさげて来日中ということで話を聞いてきました。

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第19回: 岩名雅記さん(『夏の家族』監督、舞踏家) 前編

『夏の家族』公式サイト
natufamily_flyer01.jpg
<上映情報>
『夏の家族 A Summer Family』
(2010年/日本/78分/モノクロスタンダード)
渋谷UPLINK Xにて絶賛上映中!
・上映中~10/29(金) 15:00/18:50
・10/30(土)~11/12(金) 15:00

※10/30(土)~11/5(金)は、1階UPLINK FACTORYにて連日13:15から上映あり
詳しくはコチラへ


★ 筋書きのない映画作り
Q: 本作『夏の家族』の構想はいつ頃浮かんだのでしょうか?

岩名:
前作『朱霊たち』の制作中から構想はあって、撮影が終ってすぐ準備に入りまし
た。前作では、僕が映画の現場にまだ慣れていないこともあり、カメラのアングルや照
明など技術的な面でフランス人のスタッフに頼ってしまいました。ですので、次回作で
は撮影全体も含めて自分自身で好きなように作ってみたいという思いがありました。

Q:限られたスタッフで、自分で自由にできる体制でやろうということだったんでしょ
うか。

岩名:少人数体制をとったのは、予算的な面が大きいです。あと、日本人のチームでや
りたかったという思いもありました。言葉や国民性の違いは大きいですから。

Q:前作もそうでしたが、今回の作品もわかりやすい物語があるわけではなく、物語が
生まれる前の断片的なイメージで全体が構成されているといいますか、観る人によって
は難解と受け取られる作品ではないかと感じました。このような作品は、観る側はそれ
なりに覚悟と体力がいりますが、作る側も監督の中にあるイメージを共有して作ってい
くという作業は大変だったのではないでしょうか?

岩名:普通の映画のように、まず出来上がった台本があり、画コンテがあって、カッ
ト割やアングルが決まっていて、その通りに撮ればできるというやり方とはだいぶ違
いました。できあがった映像を粗編集してみて、ドラマチックな起伏や説得力のある
画が足りない部分は再撮影が必要でしたし、またその逆の場合もあります。例えば、
最後のシーンで、カミムラ(主人公)が沼で鏡を胸に持って横たわっているシーンで、
鏡が光を乱反射して光の中に包まれているような面白いカットが撮れたんです。この
画をうまく使えないかと考え、できた画からプロットを膨らませるというようなやり
方もありました。この二つの方法で作っていったので、結果的に当初考えていたもの
からはだいぶ変わっていきました。

Q:考えながら作っていったということでしょうか?

岩名:そうですね。あがってきたフィルムを観て、こんなはずじゃなかったとか、こ
れは結構いいなとか、いろいろ発見があるわけです。ですので、撮影も再再再再再…
もう何個「再」が付くのかわからないくらい行ないました。

Q:フィルム代も馬鹿にならないのでは?

岩名:前作の尺が104分で、フィルムを回したのが6時間くらいなのに対し、今回は
79分で回したのは同じく6時間ですから、2割か3割増しという感じです。

natunokazoku03.jpg
岩名雅記監督。UPLINKにて。上映には必ず立ち会う。


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テーマ:インタビュー - ジャンル:映画

その先に夢の実現を信じて(みひろさん)

第18回:小沼雄一さん(『nude』監督)、渡辺奈緒美さん(主演女優)、みひろさん(原作者・女優)

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『nude』 シネマ・ジャック&ベティにて絶賛上映中!
<10/9(土)~10/15(金)>16:00~17:50
<10/16(土)~10/19(火)>17:40

公式サイトはコチラ

★一人の女性の成長物語として
Q:(監督へ)いま、全国の劇場で公開が始まっていますが、お客さんの反応はいかがで
しょうか? 監督はこの映画をたくさんの女性に観てほしいとおっしゃっていますが、
女性の反応はいかがですか?

小沼:
反応は、性別、年齢、職業によっていろいろありますね。女性もたくさん観にき
てくれていて、ネット上でたくさんコメントをくれています。

Q:(みひろさんへ)ご自身の人生を描いた小説が映画化されたわけですが、映画館で実
際に作品を見たときの感想はいかがでしたか?

みひろ:ある人(作家の新堂冬樹氏)から小説を書いてみないかと言われて、書き始め
たんです。書いているときは、映画になったらいいなとは思っていましたけど、本当に
実現するとは思っていませんでした。文章を書くのは本当に大変で、途中で何度も止め
ようと思ったんですけれど、最後まで逃げないでやり抜いたからこそ、こうして映画化
や漫画化につながったので、よかったなと思いました。

Q:小説の執筆はかなり苦労されたんですか?

みひろ:書けるときはスラスラ書けたんですが、どう書けばいいのかわからなかったり、
表現が見つからなかったりしたときは本当に苦しかったです。それに他の仕事もしなが
らだったので時間的にも厳しい中、プライベートの時間もずいぶん削ってようやく書き
上げました。

Q:自分の人生を、映像を通じて客観的に見ることで見えてきたことなどはありましたか?

みひろ:初心を思い出させてもらいましたね。好きだからと思って夢中で仕事をしてき
た当時のこととか、辛かったりしたこととか、そういう体験を振り返ってあらためて前
向きな気持ちにさせてもらいました。いろんな情報が入ってきて、ちょっとひねくれた
自分になってしまったりしたこともあったんですが、そういった負の感情をリセットす
ることができたと思います。

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みひろさん、渡辺奈緒美さん、小沼監督

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テーマ:インタビュー - ジャンル:映画

傷ついたままではいやだった(リンダ・ホーグランドさん)

<アート>とは何なのか? 
「60年安保闘争」という歴史的事件をアーティストの作品と証言で読み直す画期的な
ドキュメンタリー。監督は、数々の日本映画の英語字幕を担当し、
『TOKKO/特攻』(2007年)ではプロデューサーとして関ったリンダ・ホーグランドさん。
これが監督としてのデビュー作となる。

この作品に登場するアートはどれも、芸術の根源的なエネルギーを感じさせる強烈なもの
ばかりだ。アートといえば、いまジャック&ベティのある町、黄金町では町おこしの一環
としてのアートイベントが行なわれている。かたや、個人的な抵抗の表出としてのアート。
かたや、明るく健全で、誰からも親しまれるアート。対照的な二つのアートのあり方につ
いて、監督はどう考えるか聞いてみた。

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第17回: リンダ・ホーグランドさん(『ANPO』監督)

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『ANPO』シネマ・ジャック&ベティにて絶賛公開中!
<10/2(土)~10/8(金)>16:30~18:05
公式サイトはコチラ


アートの衝撃、そしてANPOへ
Q:いまなぜ「安保」なのか、そしてそれをなぜアートという切り口で読み直
そうとしたのかを教えてください。

L・H:私は日本で生まれ、中学生まで日本で暮らしました。西川美和監督が
私のことを、娼婦(日本)とヒモ(アメリカ)の間に生れ落ちた監督と言って
くれましたが、それは日米のねじれた関係の中で生まれ育った者が宿命的に感
じる居心地の悪さです。私は恥ずかしながら、「安保」のことについて何も知ら
ないで育ちました。10歳の時に授業でアメリカが日本に原爆を落としたとい
う事実を知りました。先生が原爆の悲惨さを語り終えたとき、クラスメイトの
視線がいっせいに私に向けられました。このとき私は自分が戦争の加害者の側
に組み込まれたことを初めて自覚したんです。10歳という年齢で、こんな重
い事実は消化しようがありませんでした。勝ったほうの国は、負けたほうの国
の悲惨な事実のことは知りません。勝った側と負けた側でまったく歴史観が違
うんです。その大きな矛盾の中で育ったことが、この映画を作った原点です。

 その後、大学はアメリカで学びましたが、ずっと日本映画に関わっていきたい
と思ってきました。そして、これまで多くの日本映画を観て紹介したり、字幕
を書いたりしてきました。あるとき、『にあんちゃん』(59年)ではあんなに
希望に溢れる映画を撮った今村昌平監督が、『豚と軍艦』(61年)では、横須賀
を舞台にものすごく風刺の効いたブラックな作品を作っていることに気づき、
この変化は何なんだろうと思いました。また、政治的なものを撮らない黒澤さん
も、『悪い奴ほどよく眠る』(60年)では露骨に政治汚職を描写していますし、
大島渚監督も安保闘争を題材にした『日本の夜と霧』(60年)を撮っています。
これらの映画から、60年という時代に一体何があったのかと疑問を持ったこ
とが、安保について考えるきかっけになりました。また映画以外でも、
東松照明さんの長崎の写真を見て衝撃を受けて、作品の背景となった戦争や
日米の関係などの歴史をもっと勉強しようと思うようになったんです。

 安保闘争のことを知って一番ショックだったのが、国会に警官が500人動員
されて、議員を引きずり出して法案を強行採決し、そのまま50年間内容がま
ったく変わっていないという事実です。アメリカでそんなことが起きたら内乱
が起きます。岸信介首相のバックにはCIAがいましたからそういう事態は起き
ませんでしたが、民主主義を信じていた当時の若者に与えたショックは計り知
れないものがあったはずです。もう一つこの映画を作るきっかけとなったのが、
濱谷浩さんの『怒りと哀しみの記録』を見たことです。この写真集には、建前
なんてなくてホンネの顔をしている日本人が写っていました。その顔はいった
いどこからくるのか?また、中村宏さんの『砂川五番』をテレビで見たときも、
こんな絵が日本にあるのかと衝撃を受けました。これらのアートから感じる
自由さとエネルギーはいったいどこからくるんだろう? これらの答えを探す
中で、60年安保に行き着いたんです。だからアートが先だったんです。アート
がなかったら安保のことを知ろうとは思わなかったかもしれません。アートを
発見することが、そのまま映画を作ることだったんです。

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リンダ監督と写真家の石内都さん

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テーマ:インタビュー - ジャンル:映画

暗闇のマジックは不滅です(山崎裕さん、渡辺真起子さん)

「トルソ」=首・四肢のない、胴体だけの彫像のこと。
ドキュメンタリーカメラマンの第一人者であり、是枝裕和監督作品などでも知られる
山崎裕さんが満を持して初監督した作品は、映画を知り尽くしたベテランならではの
深みのある演出と実力派俳優の演技が光る逸品。
ジャック&ベティでの公開初日に来館した、山崎監督と主演の渡辺真起子さんに
お話を聞きました。


第16回: 山崎裕さん(『トルソ』監督)、渡辺真起子さん(女優)

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『トルソ』
全国ミニシアターで公開中!
上映情報は公式サイトへ


★スクリーンの現実をどこまで信じられるか
Q: 今回「トルソ」を撮った経緯をお聞かせください。

山崎:70年代にドキュメンタリーのカメラマンとしてよく海外に行っていまし
た。ちょうどヨーロッパがフリーセックスやウーマンリブ、ポルノ解禁に沸い
ていて、すごく開放的な空気がありました。そんなときに街のポルノショップ
でたまたま男性の「トルソ」が棚の上にドンと置かれているのを見て衝撃を受
けたんです。そのときの体験を元に、女性の立場からみたセックスとか、男性
目線ではない女性の性意識みたいなものを、トルソを媒介にして描きたいと思
っていました。70年代と現代とでは男女関係も女性の意識も変わってきていま
すが、アングルを変えてみるとまた違ったストーリーが生まれるのではないか
と考えてプロットを書き始めたんです。

Q:山崎さんというとやはり是枝作品の数々の名作を作り出してきた名カメラ
マンというイメージですが、今回監督をされたのはどうしてですか? 監督を
やってみてカメラマンとはどう違いましたか?

山崎:内容的に僕の個人的なファンタジーなので、他人がやるより自分で監督
やったほうがいいのではないだろうかと思いました。元々、ドキュメンタリー
で演出もやっていたので、今回も監督をしたというよりカメラマンとして演出
も兼任したという意識でやりました。自分のカメラを直接的に自分の表現の道
具にしてみたという感覚でした。

Q:渡辺さんは脚本を読んでどう思われましたか?

渡辺:先に話は聞いていて、それから脚本を読ませて頂いて、山崎さんが見た
い世界があるということがよくわかりました。これまでも何度か一緒に仕事を
していたので、入りづらさは特にありませんでした。

Q:登場人物はそれぞれいろんな背景を抱えた存在ですが、細かい部分は描か
れていません。

山崎:人間は一面的ということはあり得なくて多面的な存在です。人の感情の
奥底や過去は氷山の下の部分のように見えませんが、それを説明する芝居では
なく、その場その場でどんな感情で妹と向き合うか、この部屋でどう生きるか
ということを積み重ねていくことで、その背景にあるものを感じさせる演出を
したいと考えていました。

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